商品について日本語
茶道の「暁(あかつき)の茶事」のワンシーンを描き、侘び寂びの世界を表しています。
茶室という空間をひととき共にし、夜明けとともに出立する。その先にあるのは、それぞれの生きる道がひとり一人違い、他にとらわれることなく自由なものであることを示唆しています。
床に飾られた侘助椿と枯木鳴鵙図(宮本武蔵)が「侘び」の精神と「寂び」の美を象徴します。茶人古田織部の異名である「ヒョウゲ-HYOUGE-」の香水のあと、15年を経て、利休の侘び茶をテーマに作られた、パルファンサトリの新作香水です。
【香りのイメージ】
夜明け前。ほのかに白む空から陽が昇り、障子を切り取るように光が差し込みます。東の窓を細く開けると、一条の光が流れ込み、やがて床の間に活けた一輪の椿の足元に届きました。壁には墨画。百舌鳥(もず)が静から動に移る一瞬の緊張感。闇の中で揺らめく蝋燭の灯りが朝に溶け込み、「暁の茶事」の終わりを告げます。
客たちが膝で滑る衣擦れの音が微かに、白足袋が静かに畳を踏みしめる。その音が次第に遠のき、静けさが部屋に満ちます。
紅い侘助椿はつつましやかにただ独り、自立しています。まるで、道が一人ひとりの前に続いていることを知っているかのように。
【内容詳細】
冷たい朝日が射すような、シャープなトップノート。静寂の中に咲く「侘助椿」は、薔薇に紫墨を合わせた深紅色(こきべにいろ)。ラストは、部屋に満ちた紫の香煙(こうえん)が、気の動きにしたがって潔く消え去ります。
【カラーイメージ】
深紅(こきべに)#AD002D
タイプ シプレ,フローラル
トップノート インドヨモギ(ダバナoil)・霍香草(パチュリoil)
ミドルノート 薔薇(そうび)・紫丁香花(ムラサキハシドイ)・ドイツかみつれ(カモミールブルーess.)
ラストノート 龍涎香(アンバー)・龍脳、墨、香木
ムエット文面
きりりとした霍香草(カッコウソウ)
薔薇と紫墨の香る、深紅の侘助椿
龍涎香、龍脳、紫の香煙が幽玄に消えゆく
調香師大沢さとりより
”利休と織部
井上靖「本覚坊遺文」から
乱世にあって、刀を持たず戦った利休。茶の在り方を「身分や階級なく純粋に茶を楽しむ」侘び茶を信念として、世に広めようとしました。
政治と権力の中枢に茶を持って臨み、野心と希望、戦いと絶望を繰り返します。秀吉に死を賜り自刃する最後にあって、「侘茶に拘泥したのは自分の執着であった」と悟り、「己が道は独りでよい」と、自由になれたのだと書かれています。
2009年に抹茶の香りヒョウゲ(旧織部)を発表したときは、古田織部の自由で大胆な意匠に惹かれた時代です。
なぜ利休でなく織部なのか、と聞かれることもありましたが、当時は利休の侘びて厳しい印象を、香水に表現することははなはだ難しく感じていました。何度も試みたものの形にすることができませんでした。
いまなお、「侘数寄常住(わびすきじょうじゅう)」の心境には到底及びませんが、力を抜いて今の自分なりの侘びを作ってみました。
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